本記事では、賃貸物件がゴミ屋敷と化してしまった場合の対処法をご紹介します。
- ゴミ屋敷はどうやって原状回復すれば/させればいい?
- 退去費用はどのくらい請求する/される?
上記のようなお悩みに向けて、大家さん側、住人側それぞれの立場での対策や退去費用についてご紹介します。記事後半では、双方円満に解決できる原状回復方法もお伝えしますので、ぜひ最後まで参考にしてください。
賃貸のゴミ屋敷を放置すると…?【3つのトラブル代表例】
最初に、ゴミ屋敷を放置した時に起こりうるトラブルを紹介します。
- 近隣住民からの苦情
- 借り手がゴミ屋敷を放置したまま「夜逃げ」
- 大家さんや管理会社が「強制退去」を言い渡す
貸主・借主双方の立場からも確認していきましょう。
近隣住民からの苦情
集合住宅や、戸建てが密集する地域物件にゴミ屋敷ができると、次のような苦情トラブルが発生します。
- 放置されたゴミから発生する臭い
- ゴミや臭いで寄ってくる害虫
同じ環境での生活である以上、近隣住民から管理者宛てに苦情の連絡が入る可能性は大きいでしょう。
借り手がゴミ屋敷を放置したまま「夜逃げ」
ゴミ屋敷にした借主本人が、そのまま夜逃げするケースの判例がいくつも出ています。この場合、残された荷物を勝手に処分できなくなります。家賃が未払いになるだけでなく、入居時に受け取っていた敷金だけでは原状回復の費用は足りない事態が起こります。
大家さんや管理会社が「強制退去」を言い渡す
反対に、貸主側が強制退去を言い渡すケースも。ゴミ屋敷は害虫や悪臭の原因となり、火災リスクも高まるため、契約違反として強制退去を命じることが可能になります。
【大家側】ゴミ屋敷と化した賃貸物件から退去をうながせる?
大家側が借主に退去をうながす場合の流れを解説します。
- 入居時の契約書を確認する
- 強制退去させるための正式な手順を押さえる
- 実際に退去を促す
借主側にとっても退去を命じられる予兆となるため、一緒に確認していきましょう。
1.入居時の契約書を確認する
一般的な賃貸借契約の多くは、半年前までに退去を通知する内容になっていますが、異なる期間の賃貸借契約もあり得ます。
ゴミ屋敷からの強制退去は、「家賃」「禁止事項」「契約の解除」の項目や特約が関連してきます。
禁止事項がゴミ屋敷の状態に当てはまる必要があり、強制退去の可否はこの部分に焦点が当てて審議されるわけです。
2.強制退去させるための正式な手順を押さえる
賃貸物件をゴミ屋敷にされてしまっても、大家はすぐに住人に強制退去を命令できません。
借主の権利保護のため、正当な手続きを踏まなければ、大家側の対応が違法な行為と見なされ、逆に訴えられるリスクがあります。裁判所の判断を得れば、借主に対する公正な対応が保証されるため、トラブルを最小限に抑えられるのです。
3.実際に退去を促す
では、具体的な退去を促す手順を解説していきましょう。
- 入居者本人と相談する
- 内容証明郵便を送付する
- 行政機関に相談する
- 弁護士に相談する
貸主、借主双方で認識すべき内容です。
1.入居者本人と相談する
入居者本人と直接相談すれば、その時点ですんなり改まる可能性もあります。指摘されなかったためにゴミ屋敷の自覚がない借主もいるため、ゴミ屋敷化が発覚したら、まずは借主を話し合う機会を持ちましょう。
2.内容証明郵便を送付する
「内容証明郵便」とは、賃金未払いや契約問題があった際に、借主に送信できる書類のことです。
賃貸物件をゴミ屋敷にするのは、不動産の品質や価値を損なう行為となるため、内容証明郵便を送信できます。ただし、内容証明だけでは法的な効力はありません。
3.行政機関に相談する
大家側が直接動いても入居者が問題を改めてくれなければ、公的な行政機関に相談する段階に移ります。
第三者が介入することでより客観的に問題認識してもらえるため、解決につながりやすいと言えるでしょう。
4.弁護士に相談する
最終的には、ゴミ屋敷の原状回復について豊富な知識と実績を持つ弁護士に相談します。弁護士が、数ある判例を元に、裁判や強制退去の手続きをサポートします。
【借主側】賃貸物件をゴミ屋敷にしてしまったらどうなる?
反対に、借主側が認識すべき事態も挙げていきましょう。
- ゴミ屋敷のまま放置するのはルール違反
- 賃貸住宅での借主は義務がある
- 強制退去させられる可能性がある
借主側の義務にも触れているので、大家さんも参考にしてください。
ゴミ屋敷のまま放置するのはルール違反
貸主側が一方的に強制退去を言い渡せない一方で、借主側も、常識の範囲で物件に暮らすためのルールを守るべきです。借物であるという意識をしっかり持っていれば、ゴミ屋敷化がルール違反である点は明確です。
賃貸住宅での借主は義務がある
借主に課せられる義務についてお伝えします。
原状回復義務
「退去の時には部屋を元に戻す」という原状回復義務の意味を、具体的に確認しましょう。
「原状」とは入居時の元の状態を指します。とはいえ、新築物件に入居したら新調すべきという意味ではありません。以下のような暮らしていく上での消耗は考慮されています。
- 壁紙なら7年目で減価償却を終え価値がゼロになる(張替えは貸主負担)
- 日常生活で発生する日焼けや色褪せ、その他壊れてしまったものは加味しない など
普通に人が暮らしていれば当然発生する汚れや破損を除いた部分での「原状回復」義務ですが、争点にもなりやすいポイントとも言えます。
善良なる管理者の注意義務
特定の物に対して引渡すまでに善良なる管理者の注意をもって保存すべきという、民法400条に規定されている法律で、「善管注意義務」と呼ばれます。
「特定物の引渡が完了するまで」に該当するのは売買物件だけではありません。賃貸住宅であれば、入居時から退去引渡までの居住中はその義務が発生します。
強制退去させられる可能性がある
法的な手段を踏めば貸主側から強制退去を言い渡される可能性があるとお伝えしました。
具体的な事例としては、以下のようなケースが報告されています。
東京都江戸川区のマンション
あるマンションの一室がゴミ屋敷化し、悪臭や害虫の発生により周囲の住民が深刻な迷惑を被っていた。
- 管理会社はゴミの状況を写真で記録し、借主に対して複数回の書面で警告した
- 借主に対し、一定期間内にゴミを片付けるように強く求めたが、改善が見られなかった
- 最終的に契約違反として賃貸契約の解除を通知し、裁判所に退去命令の申し立てをした
- 裁判所から退去命令が出た後も借主が従わなかったため、執行官による強制執行が実施された
- 借主は強制退去させられた
ゴミ屋敷化の線引きは争点も多いですが、上記のような判例も多く存在します。つまり、法的に正当な方法で、ゴミ屋敷の借主が強制退去させられる現実があるのです。
賃貸ゴミ屋敷の原状回復費用は借主が負担
次に、原状回復にかかる費用の負担先を確認していきましょう。
- 【大家側】借主に原状回復費用を請求する
- 【借主側】原状回復を専門業者に依頼する
大家側、借主側それぞれの立場からお伝えします。
【大家側】借主に原状回復費用を請求する
ゴミ屋敷の原状回復費用は、貸主から借主に請求できます。理由は、借主が賃貸契約に基づく原状回復義務を負っているためです。
借主が適切に物件を管理せず、ゴミ屋敷化して生じた清掃や修繕の費用は、借主の過失に基づくもの。常識的範囲を超える損耗や汚損は借主の責任とされ、大家側は、自然消耗以外の費用を借主に請求する権利があります。
【借主側】原状回復を専門業者に依頼する
ゴミ屋敷の原状回復は、借主側が負担しなくてはなりません。
自分自身がゴミ屋敷と呼ばれるまでに汚してしまった物件を、自分で原状回復するのは不可能に近いでしょう。現状打破のために、専門業者を利用すべきです。
専門業者は、膨大な量のゴミや不用品の迅速な処理、衛生面の徹底した清掃、害虫駆除など、さまざまなプロの技術で迅速に対応しています。プライバシーにも配慮して作業を実施するため、近隣の目も気にせず安心して任せられます。
どんな状況でも即日から対応してくれる業者が多いため、早急に専門業者に相談してみましょう。
賃貸物件をゴミ屋敷にしてしまった時の退去費用
気になる原状回復費用について、詳しく解説していきます。
- 原状回復費用
- 片付け費用
- 高額になる事例とは?
順番に見ていきましょう。
原状回復費用
ゴミ屋敷を原状回復する内容と費用目安を、下記の表にまとめました。
内容 | 費用 |
---|---|
カーペットの張替え | 8,000〜10,000円 / 枚 |
フローリングの張替え | 80,000〜150,000円 |
壁紙の部分修繕 | 800〜1,000円 / ㎡ |
壁紙を全面修繕 | 40,000〜65,000円 / 6畳 |
キッチンのクリーニング | 15,000~25,000円 |
ハウスクリーニング | ワンルーム・1K:20,000〜30,000円 1DK、1LDK:25,000~40,000円 4LDK:65,000円~ |
通常の退去時に敷金から充当されるクリーニングの内訳より、本格的な内容になります。
片付け費用
原状回復で発生したゴミの片付けや、清掃などの作業も必要です。
片付けにかかる費用は、間取りやゴミの量によって4.3万〜50.0万円と、大きな価格差が生じます。ゴミ屋敷清掃にかかる費用相場は、以下の通りです。
部屋の間取り | 作業者人数 | 料金目安(税込) |
---|---|---|
1K・1R | 1人~ | 43,000円~ |
1LDK | 1人~ | 50,000円~ |
2LDK | 2人~ | 135,000円~ |
3LDK | 3人~ | 185,000円~ |
4LDK以上 | 4人~ | 244,000円~ |
同一業者であわせて依頼すると、時間や費用の節約になるでしょう。
高額になる事例とは?
ゴミ屋敷の退去や原状回復にかかる費用が高額になるケースとして、以下のような例が挙げられます。
- 壁紙にタバコの臭いやヤニがついている
- カビやシミが広がっている
- 床や壁に大きなへこみや傷がある
上記のようなケースは自然消耗の範囲ではなく、壁紙やフローリングなどを全面的に張替える作業が必要になるため、費用が大変高額になります。
賃貸のゴミ屋敷を円満解決するには?業者相談のコツ3選!
円満解決を目指すためには、専門業者選びも重要なポイント。それぞれの利点とあわせて選び方のコツを解説します。
- 「急な依頼OK」の業者にまずは見積もり作成を依頼
- 「積み放題が安い」業者にゴミ回収を丸投げ相談
- 「ゴミ屋敷を見慣れた業者」にハウスクリーニングまでまとめて相談
ニーズにあわせて探していきましょう。
「急な依頼OK」の業者にまずは見積もり作成を依頼
ゴミ屋敷清掃を専門に実施する業者は、24時間年中無休で急な依頼に対応しているところがほとんど。退去日がせまっている、自分ではゴミ捨てすらままならない、などの事態にも安心してお任せできます。
プライバシーを遵守してくれる業者が多いので、周囲に現状を知られずに現地確認・見積もり依頼が可能です。
>> 引っ越しのゴミ捨てが間に合わない!?【退去前の対処法5選】
「積み放題が安い」業者にゴミ回収を丸投げ相談
ゴミ屋敷化を打破したくても、大量のゴミや不用品の処分でつまずく方も多いはず。
専門業者はトラックの大きさごとに積み放題プランを設定し、積み放題でまとめてゴミを回収してくれます。積めさえすれば料金は定額という安心感がありますね。定額プランの料金を比較検討してください。
>> 引っ越し間際に大量のゴミを処分したい!【急でも頼りになる方法】
「ゴミ屋敷を見慣れた業者」にハウスクリーニングまでまとめて相談
ゴミや不用品を回収できたあとも、部屋の中は雑然としているはず。片付けやハウスクリーニングまでまとめて相談できる業者を選びましょう。
同じ業者に依頼すれば、総額の節約になるだけでなく、退去時のクリーニング費用の負担も大幅に軽減されるはずです。
賃貸のゴミ屋敷でお悩みなら!今すぐ専門業者に相談を
賃貸物件がゴミ屋敷と化してしまった場合の対処法を、大家側・借主側のそれぞれの立場から解説しました。
ゴミ屋敷を放置していても、貸主側も借主側もリスクが増すばかり。原状回復する以外に円満解決する方法はないので、まずはすぐに手慣れた専門業者へ依頼しましょう。
『粗大ゴミ回収・不用品回収・ゴミ屋敷清掃のパイオニア!粗大ゴミ回収サービス』は、ゴミの回収やハウスクリーニングもまとめて依頼できるので、時間も費用も節約できます。まずは無料のお見積りをお試しください。
急に転勤が決まり、家族で引っ越しをすることになりました。
来てもらってから処分したものがどんどん出てきて予定よりも増えたのですが、全部引き取ってももらえたため、引っ越し準備がスムーズに行えました。